スウェーデンに住んでいると、ふとしたときに「やっぱり日本の方が便利だったかも」と思うこと、ありませんか?
スーパーの品揃え、レストランの質、病院へのアクセス、そして細かい気配り……。憧れの海外生活も、1年も経てば、日本の良さに気づき、ふとした場面で日本の良さを再確認する場面は多々あります。
私自身も、そんな気持ちを抱えながら日々子育てをしていましたが、最近ハンガリーとルーマニアを旅行したことで、思いがけず「スウェーデンって、意外といいかも!」や、「日本と似てる!」と思う瞬間がたくさんありました。
今日はその旅の中で感じた、スウェーデンの暮らしやすさについて綴ってみたいと思います。
物乞いが少ない

ルーマニアでは、7歳くらいの子どもを抱えた物乞いの女性を見かけて、胸が締め付けられました。
その子どもがこれからどんな環境で育つのか、どうか少しでも穏やかに過ごせますように…と願わずにいられませんでした。
その後も、ルーマニアやハンガリーで物乞いの方や服装からしてホームレスのような方をチラホラ見かけました。
スウェーデンにも物乞いの方はいますが、子どもが一緒にいるような場面は見たことがありません。現政権になってから、物乞いに対する取り締めも厳しくなっており、2015年に私が交換留学でヨーテボリにいた時は、スーパーやコンビニの前に物乞いの人がいることが多かったのですが、今ではほとんど見かけることもありません。
街行く人も、みな物乞いの女性を見ずに通り過ぎていき、この景色が日常で育つ子供たちはどんな気持ちなんだろう?どんな大人になるんだろう?と思いました。
スウェーデンにいる物乞いの人たちも、東欧の出身ということを、スウェーデン人の友達が教えてくれたことがありました。いくつかの民族が暮らす東欧で、ヨーロッパで、生まれながらに物乞いをしなければいけない民族がいるというのは、当時大学生だった私にとって、とても驚きで、悲しいことだと衝撃を受けた記憶があります。
街の空気が快適

次に驚いたのが、喫煙文化の違いです。
スウェーデンでは、レストランなど基本的に屋内は完全禁煙で、たまに歩きタバコをしている人はいますが、街中でも喫煙者をあまり見かけません。
ルーマニアでは、工事現場のおじさんがタバコを口にくわえながら仕事をしていましたが、スウェーデンでも交通整理をしているお兄さんがタバコを吸っていたことがあったので、「日本と比べるとゆるいな~、よく事故が起こらないものだ!」と感心した記憶があります。
しかし、しかしです。
ルーマニアやハンガリーでは、街中での喫煙が日常的。タバコの臭いで頭痛がする私にとって、かなり厳しい旅行となり、11日間のうち半分以上を頭痛薬なしでは過ごせませんでした。
ハンガリーの首都、ブダペストでは、開店前のレストランの前で店員さん5人が並んで一服していたり、注文カウンターの真横のテーブルでスタッフがタバコを吸っていたりと、日本やスウェーデンでは絶対に見かけない光景がありました。
ハンガリーやスウェーデンでは、トイレは有料が多いのですが、ブダペストのマーギット島の有料トイレは、係りの人がタバコを吸いながらお金を回収しており、お金を払ってタバコの煙に襲われるという、本当にげんなりする体験でした。
当たり前すぎて意識していませんでしたが、スウェーデンの「空気」が、実はすごくありがたいものだったのです。
水道水がミネラルウォーター並みに美味しい

日本では、水道水をそのまま飲む人もいれば、料理やお茶には使うけれど、飲み水としてはペットボトルの水を買っているという人も多いと思います。とくに都市部では、水道水のにおいや味が気になるという声もよく聞きます。
スウェーデンは、日本と同じく軟水で、水道水がまるでミネラルウォーターのように澄んでいて、冷たくてすっきりした味。ペットボトルの水を買う必要がないほど美味しいのです。「いろはす」を想像していただければお判りいただけるとおもいます。
そして面白いのがハンガリー。こちらの水は硬水で、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富。そのぶんミネラルウォーターに近いのですが、人によっては「クセがある」と感じるかもしれません。個人的には苦味のようなものを感じたのですが、想像していたよりも全体的な物価が高く(1.5Lの水が約150円)、節約のため外出時も水道水をペットボトルに入れて持ち歩いていました。
ルーマニアやハンガリーでは、無糖のフルーツの味などがついた炭酸水やただの炭酸水も好まれているので、炭酸水が好きという人にとっては天国かと思います。ちなみに無糖のフルーツの味がついた炭酸水はスウェーデンでもよく飲まれており、私も時々無性に飲みたくなることがあります。
ということで、水道水の水がミネラルウォーター並みに美味しいという事実に改めて気づくことができて本当によかったです。
公共交通機関がバリアフリー

私が住んでいるスウェーデンの街(ヨーテボリとその周辺)では、電車の駅にはエレベーターやスラロームがあり、ベビーカーでも安心して移動できます。ヨーテボリ市内を走るトラムの乗り降りも段差がとても小さく、古いタイプだと苦労するのですが、たいていは周囲の人もベビーカーを見かけると自然に手伝ってくれます。

一方、ハンガリーのブダペストでは、電車に乗る際に2段も階段があり、ベビーカーを持ち上げるのも一苦労。地下鉄はエレベーターがない駅も多く、登るのも降りるのも、写真にあるような長くて早いエスカレーターのみ。子連れには、正直かなりきつい場面が多かったです。
実際、地下鉄にはスウェーデンで見かけるようなベビーカーを押した子連れの人の姿や杖をついたお年寄りの姿はありませんでした。
身体障害者の方もふくめ、社会的にサポートが必要な立場の人のことは考えられていないのかと悲しい気持ちになりました・・・。
私も詳しくはありませんが、以前ラジオでハンガリーはスウェーデンと比べるとHBTQIA+や難民にも厳しく、排他的との見解でした。キリスト教の国でトリアノン条約によって国土の三分の二を失った経験など、これまでの国がたどってきた歴史のことなどを考えると、仕方ないのかもしれませんが、正直、私個人は暮らしやすそうな印象を受けませんでした。
ということで、スウェーデンでは、普段当たり前のように使っていた設備が、実はとてもありがたいことなんだと気づかされたのでした。
子育てしやすい環境

子育て中の方なら共感してもらえると思うのですが、子どもと快適に過ごせる環境は死活問題ではないでしょうか?
スウェーデンでは、レストランに必ずといっていいほど子ども用の椅子が用意されているし、チャイルドシートの着用が義務付けられていて、タクシーでも追加料金を払えば利用できます。
逆にハンガリーやルーマニアでは、子ども椅子がないレストランが大半を占め、何より驚いたのが、タクシーでチャイルドシートなしは当たり前。高速もチャイルドシートなしで走るのが普通だったことです。
たまたまかもしれませんが、私たちが乗ったタクシーの運転手さんは、あおり運転に加えてスピードも130kmとかなり出していて、かなり怖い体験でした。
自分の車で移動すれば問題ないのかもしれませんが、維持費や諸々を考えるとタクシーでチャイルドシートが利用できないこと、公共交通機関がバリアフリーのところでも紹介しましたが、バリアフリーが普通ではないことはかなり体力を奪われる事態で、旅の最終日はなるべく移動をしないようにプランを変更しました。
“適度な距離”が心地よい

もうひとつ、今回どうしても書いておきたかったのが「人との距離感」についてです。
あくまで、私の体感ですが、東や南ヨーロッパの国の人は、いい意味でも悪い意味でも、物理的にも心理的にも距離が近いことが多いように思います。
特に男性と話していると、会話の途中で軽く体に触れられたり、必要以上に近づかれたりすることがあって、正直ちょっと戸惑ってしまう場面何度かありました。
ハンガリーやルーマニアは、ハグの仕方など、フランスのビズと同じで左右のほっぺとほっぺを合わせるのですが、個人的にはスウェーデンの軽いハグの方が性に合っていると感じます。
一度、義父の老人ホームにお見舞いに行った際、ハンガリー人のおばあさんに会って、例のビズをされたのですが、勢い余ってか唇でチューされてしまい、これまた、げんなりしました。
自分でもそんな小さなこと気にしなくていいじゃないか!と頭ではわかるのですが、精神的には落ち込んでしまいました。それからというもの、おばあさんに会うのが怖くてお見舞いにはいけていません・・・。
そういう意味で、中々心を開いてくれないなど言われるスウェーデンの人たちの「ちょうどいい距離感」には日本人と似ている部分も多く、安心感があるのです。
必要以上に踏み込まないし、無理に近づいてこない。でも、こちらが話しかけるとちゃんと向き合ってくれる。そのバランスが、今の自分にとってはとても心地よいな改めて感じています。
ブダペストでの心あたたまるエピソード

ここまでルーマニアとハンガリーを旅して、改めて感じたスウェーデンの良さについて綴ってきましたが、旅の最後に、ぜひ紹介したい心温まるエピソードがあります。
それは、ブダペストのトラムに乗っていたときのこと。
その日はとても暑く、さらにベビーカーを押しての移動だったため、夫も私もぐったりと疲れていました。そんな中、20歳くらいの若い男性2人が、私たちにすっと席を譲ってくれたのです。
これまで妊娠中や子連れの移動では、中年の方に席を譲っていただいたり、ベビーカーの乗り降りを手伝ってもらった経験はありましたが、若者から席を譲ってもらったのは初めて。しかも、一度だけでなく、別の日にも同じように若者が席を譲ってくれたのです。
「ブダペストの若者って、なんて優しいんだろう」
そんな感動が心に残っています。
また、息子がバスや電車で少し大きな声を出してしまっても、まわりの人たちは嫌な顔をするどころか、優しく笑いかけてくれたりして、どこかほっとできる雰囲気がありました。日本の電車で感じるような、子どもに「静かにしなさい」と言わなければいけないような、ピリピリしたプレッシャーもなく、とても過ごしやすかったのが印象的でした。
まとめ
スウェーデンに住んでいると、時には「もっと日本みたいに便利だったらいいのに」と思うこともあります。
でも、ハンガリーとルーマニアを旅してみて、スウェーデンにある当たり前の暮らしがどれだけありがたいかに気づかされました。
空気のきれいさ、いたるところがバリアフリーであること、安全意識、いい感じの距離感。
どれも生活していく上で、そして特に子育てをする上で、何よりも大切なものばかりです。
「日本の良さを再発見するために、海外旅行に行く」なんて方もいるようですが、
「スウェーデンに住んでいてよかった」
旅から帰り、私自身もそう思えたことが今回の一番の収穫でした。
スウェーデンにお住いの方は、どう思われましたか?
もしかしたら、ルーマニアやハンガリーにお住まいの方も読んで下さり「全然違う!」と思われたかもしれません。
はたまた、全然違う国でがんばる海外生活組の方もいらっしゃるかもしれませんね🤗
みなさんの体験談やご感想、お待ちしています!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました😊🙌
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